会計ビッグバンからIFRSへ
- 1999年4月 連結財務諸表の本格導入、連結キャッシュフロー計算書等の作成基準
- 税効果会計に係る会計基準
- 2000年4月 退職給付に係る会計基準
- 金融商品会計基準
- 外貨建取引等会計処理基準改訂
- 2005年4月 固定資産の減損に係る会計基準
- 2005年5月 役員賞与に関する会計基準
- 2005年5月 ストック・オプション等に関する会計基準
- 2006年4月 企業結合に係る会計基準
- 2008年4月 棚卸資産の評価に関する会計基準
- 2008年4月 リース取引に関する会計基準
- 2010年4月 資産除去債務に関する会計基準
- 2010年4月 賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準
- 会計ビッグバン以降日本もIFRSに近づいている
- Ex. 減損の強制、年金債務・資産の公正価値評価、企業結合による取得資産・引受負債の公正価値評価、リースのオンバランス等
IFRS導入の方向性
-コンバージェンスからアドプションへ-
- 2005年3月~ 日本基準とIFRSのコンバージェンス(収斂)の動きが始まる
- 2007年8月 東京合意 コンバージェンスの加速化を表明
- 2008年12月 ASBJ 短期コンバージェンス項目について終了を宣言
- 2009年6月 企業会計審議会「わが国における国際会計基準の取扱いについて」
→日本もコンバージェンスからアドプション(導入)へ方針転換 - 2010年3月期より任意適用を開始
- 2012年までに強制適用の最終判断 →2015 or 2016年にも強制適用か
概念フレームワークからIFRS後を理解
- 1.財務諸表の目的は利用者の経済的意思決定に資すること
- 過去の実績のみではなく、将来の予測に役立つこと
- →・市場における投資家を意識 ・取得原価から時価への移行 ・リスクなどの不確実性に関する多くの開示
- 2.財務諸表の質的特性
- ・理解可能性 → プロを前提、複雑さだけでは除外しない
- ・目的適合性 → 投資家が過去に行った評価の修正に役立たせる
- ・信頼性 → 重大な誤謬や偏向がなく、過大な認識をしない、実質を優先
- ・比較可能性 → 時系列かつ他の企業との比較
- →Ex.単なる保守主義でなく引当金を設定、継続事業と廃止事業の区分により将来獲得能力を判別、会計方針変更による遡及修正
- 3.公正価値の導入
- ・認識(財務諸表にいつ、どこへ計上)と測定(財務諸表の金額はいくらか)
- ・測定に当初測定(取得時)と当初以後の測定(取得後の再測定)
- ・当初測定は以前と差異少ない、当初以後の測定に公正価値が多く導入
IFRS導入のコスト
- 1.初度適用(IFRS1号)
- ・当期、前期の財務諸表+前々期の財政状態計算書
- ・前期、前々期の財務諸表を当期末に適用されるIFRS基準を遡及適用
- 2.会計方針、会計上の見積の変更及び誤謬(IAS5号)
- ・当期、前期の財務諸表+前々期の財政状態計算書
- ・過年度の誤謬は過去に遡って訂正し、過年度の財務諸表を修正
- ・強制適用前の新基準を早期適用しなかった場合は、影響等の開示
- 3.中間財務報告(IAS34号)
- ・45日以内にIFRSsによる四半期財務諸表の作成
- 4.その他
- ・細則主義から原則主義へ(実態の理解、数値基準ない中での判断)
- ・過年度の誤謬は過去に遡って訂正し、過年度の財務諸表を修正
- ・連結用と個別用を区分管理
- ・税務調整項目の増大
- ・システム変更・導入
IFRS3号 企業結合
- 経済事象の実態を捉えると
- ↓
- 企業結合は、公正価値を交換して支配を獲得
- ↓
- a)
- ・支配の取得なので、取得を重視→取得法(パーチェス法)
- ・のれん→償却せず、毎期減損テスト
- b)
- ・交換対象でない取得関連コストは費用処理(のれんとならない)→利益圧迫要因となる
- 負債の定義を満たさないものは負債として認識しない
- 負債・・・過去の事象から発生した企業の現在の債務で、これを履行するためには経済的便益を有する資源が当該企業から流出すると予想されるもの(フレームワークより)
- ↓
- a)
- バーゲン・パーチェス(負ののれん)→直ちに利益に(負債の定義を満たさないため)
- b)
- リストラクチャリングコストは取得時点の負債でないので、認識はNG→都合良い利益調整NG
まとめ
- 会計ビッグバン以後すでに多くの基準に対応
- ・10年以上対応して現在があるという自信で乗り越える
- 過去指向から未来指向へ
- ・資産・負債を正しく評価するという観点(資産と負債の変動で企業を判断する)をもつ、割引計算等ファイナンス的指向をもつ
- 個々の実態を捉えて原則主義に対応
- ・個別の問題を会社で判断するための実態の把握をする
- インパクト分析を行って事務コストを把握
- ・どこの部署が数値情報を掌握するか、システム変更の必要はあるか、業務フローが変わるか
- 最新情報のキャッチアップと社内教育
- ・日本の新しい基準やIFRSの改訂の情報収集、フレームワークに戻って考慮